[はじめに]

当店はショップを立ち上げ今年で20年になります。日々、来店される方々のご相談に乗らせて頂き、その人にとってのベストを共に考え提供してきました。時代は進み、ネット上でのお買い物に抵抗のない世の中になりました。しかし、お買い物の手段が変わってもお客様が抱える悩みや葛藤に関しては変化を感じません。むしろ、ネットでのお買い物が浸透すればするほど、お客様が抱える悩みや葛藤は、より大きなものになっていると実感しております。ここでは、そういった「悩み」を抱いたときに「迷ったけど買って良かった」と思えるための条件をお伝えしています。お客様がモノに出会い、お買い物をして、長い時間を共に過ごし、かけがえの無い存在になるといった「体験」を提供することが販売員の役割と考えております。


[かけがえのないモノとなる条件]

20年近くお客様と会話を交わし洋服を提供してきた経験から、「迷ったけど買って良かった」と思えるには6つの条件があるように感じます。

1.商品への情熱は本物か?

2.サイズ感とシルエットは最適か?

3.品質と素材に信頼性はあるか?

4.無理のない背伸びであるか?

5.未来への想像が膨らむか?

6.商品との邂逅を感じるか?


[商品への情熱は本物か?]

商品への情熱が本物かどうかを見極めるポイントとして、最も分かりやすい指標は「それまでの時間」です。お買い物をするにあたって、商品との出会いから現在までの時間を振り返ってみて下さい。店頭に来る方のほとんどが、ネット上で「リサーチし保留して」を何度も繰り返した後に来店されています。長い時間悩んだ結果、「やっぱり欲しい物」と思える商品はご自身にとって、「かけがえのないモノ」になることが多いのです。つまり、長きに渡って情熱が絶えないモノだからこそ手に入れる価値があるのではないかと考えています。


[サイズ感とシルエットは最適か?]

今までの経験上、サイズ感とシルエットがしっくりくるモノは時間が経っても愛用されています。もちろんサイズ感やシルエットに関しては、自分自身の体型維持も必要になります。成人した方の体型は成長期のような変化がないので、自己管理次第では購入時と同じサイズやシルエットを維持することができます。レザージャケットのような商品の場合は特に重要です。ネット上でのお買い物の場合、近い体型の着用写真を見たり、店頭に電話をしてプロのアドバイスを参考にして下さい。サイズ感とシルエットに不安があると「思い切って買ったけどあんまり着てないな」ということになりやすいです。販売員はその道のプロです。相談して頂ければコーディネートの提案などもさせて頂きます。不安を残したままお買い物をするのではなく、気軽にご相談ください。



[品質と素材に信頼性はあるか?]

モノの品質と素材に関しては、信頼に値するブランドなのかをリサーチすることが大切です。商品はデザイナーの「想いや考え」をカタチにしたものです。ブランドの歴史やこだわりを知ることで、自分にフィットするかを測る材料になります。また、素材の特性を調べることも大切です。例えば、革製品の場合は時間が経てば経つほどに身体に馴染み、味が出て格好良くなります。経年変化を考慮して、成りたい自分への先行投資だと思って購入に踏み切るのも悪くないと思います。


[無理のない背伸びであるか?]

お買い物の際に無視できない絶対条件として「現状の確認」と「大丈夫な支払い計画」があります。店頭ではこのことを、「いけるか」、「いけないか」、という言葉をよく使いますので、あえてここでもこの言葉を使わせて頂きます。「いけるか」、「いけないか」または「分割払い」のように条件によっては大丈夫な方法はあるかなどを考えてください。無謀な買い物をすると、その商品を実生活の中で楽しむことが難しくなります。その上で、高価な商品は少し背伸びする「投資」だと考えて頂ければと思います。また、「いける現状」というのは「常に」ではなく「そのときだから」といった特別な状態です。「いける現状」でありながら欲しい物に巡りあうということは、出会うべくして出会ったモノと考えることができるのではないでしょうか。


[未来への想像が膨らむか?]

商品を手に入れた「その後」のことを想像してみてください。欲しかった商品を手に入れた「その後」あなたはどこに行くときに着ていきますか?誰に見てもらいたいですか?どのようなコーディネートをしたいですか?それは、結婚式や二次会、旅行や同窓会などのイベントでしょうか。それともレザー好きな人、同じブランドが好きな人、友人、恋人との時間でしょうか。着てみたときの理想的なイメージを膨らましてください。「自分のスタンダード」として日頃から着ることや、「自分にとって特別な日に着る」など、ご自身の中で、マイルールを作るのも面白いと思います。お買い物は、手に入れた「その後」のイメージが愉しいものであるべきです。より良いイメージが湧くかどうかを想像してみてください。また一つの考え方として、いずれ成る自分であれば早く成り、そのモノに相応しい自分に引き上げるという考え方もあります。


[その商品との邂逅を感じることができるか?]   

 ※邂逅=運命的に巡り合うこと

最後の条件です。こちらに関しては販売員目線でお話させていただきます。数あるたくさんのアイテムはお店に届き、必ず誰かの手元にいきます。ストック数や仕入のタイミングやサイズ感を知る販売員からみると、「あきらかにこれはあなたの為のモノだよ」と言えるような出来事が存在します。つまり「商品との邂逅」です。絶妙なタイミングでお客様が来られ、モノに出会い、お買い物をする。販売員だからこそ、余計に不思議であり運命的だと感じています。これは店頭でもネット上でも起こります。こういったストーリーを知ることは、後に「かけがえのないモノ」に繋がっていきます。運命を感じるお買い物は誰にとっても嬉しいものです。あなたにも不思議な「縁」を感じ取れるかもしれません。


上記のポイントをクリアしていると、たくさんのお客様の購入からその後をお聞きした結果「迷ったけど買って良かった」になっていることが多いです。実はこの条件、店頭にてご相談を受けた時にチェックするポイントになっております。逆に上記のポイントで引っかかる場合は、納得いくまでリサーチしてみても良いと思います。あなた様にとっての「最適」ではなく「最高」の商品に巡り合えることを心から願っております。


["モノ"と"ヒト"を巡り合わせる販売員であること]

いままでたくさんのお客様と物をつないできました。そこには数えきれないほどのドラマがあり、ときには震えるような感動を受けることや、本当に運命としか思えないようなこともありました。10年前の物を今も気に入って着ている姿を見たときは、感激と感謝の気持ちに包まれます。店頭では直接ご相談に乗ることができますが、ネット上ではそうもいきません。しかし人がお買い物をすることは絶えず行われることだと思います。このページに記したことは、ネット上で思い悩んでいる方や、判断に困っている方の心に、すこしでも寄り添うことが出来たら、という思いから作りました。誰しもが気に入った物に出会う喜びは、格別なものだと思います。その為に尽くすことがわたくし達の役割であり、大切なことだと捉えております。これからもお客様とモノを繋ぐことを生業とし、日々精進していきます。何かありましたらお気軽にご相談くださいませ。